ペルテス病
今回はペルテス病についてのお話です。
ペルテス病とは子どもがかかる股関節の疾患です。
股関節は球状の大腿骨頭が、受け皿のような臼蓋という部分にはまるような構造になっています。

この大腿骨頭の血流が何らかの原因で途絶え、骨が壊死してしまい、しだいに骨がつぶれて変形してしまう疾患です。なぜ血流が途絶えてしまうかは明らかになっていません。
好発年齢は1〜10歳と幅広く、特に4〜8歳くらいに発症しやすいと言われています。男女比は5:1くらいの割合で男子に多くみられます。
・ご自宅での見極め方

お子さんが遊んで帰ってきて足を引きずっていたり、脚の付け根や太ももを痛がっていたら注意が必要です。
股関節には痛みが無く、太ももだけに痛みが出る場合もあります。
このような時は股関節の動きをチェックしましょう。
あぐらがかきにくい、股関節をひねったときに左右で可動域が違う
このような症状があるとペルテス病の可能性があります。
少しでも疑わしい場合は早めに医療機関を受診しましょう。
当院ではペルテス病の疑いがある患者さんがいらした場合はまず提携医に紹介し、レントゲンやMRI等にて壊死があるかないか、ある場合どのくらいかを検査していただきます。
前述の通り股関節に痛みが無く太もものみが痛い場合もあるので見逃さないことが重要です。
発症年齢が低く壊死の範囲が狭いほど予後は良好です。
悪化しないよう経過観察は必要ですが、自然治癒を望めます。
ですが4歳以上で、壊死の範囲が骨頭の半分以上にわたるときは治療が必要です。
重症例では入院や1年以上の装具の着用、または手術が必要となってしまいます。
発見と治療開始が遅いほど予後は不良で、壊死は最終的には修復しますが、その修復過程で大腿骨頭や臼蓋に変形が生じてしまいます。

(出典 “標準整形外科学 第9版”)
上の写真は向かって右が正常な股関節です。対して左の写真の股関節はペルテス病発症から10年が経過し大腿骨頭と臼蓋ともに変形してしまっています。
小さいお子さんがいらっしゃる方は日頃から股関節に注意してみてください。