リトルリーガーズショルダー
今回はリトルリーガーズショルダーについてです。
リトルリーガーズショルダーとは、名前の通り成長期の野球選手の肩に起こるケガです。
子供の身体は大人とは大きく違い、骨に骨端線があります。
骨端線は骨の成長のために完全な骨ではなく軟骨になっています。
リトルリーガーズショルダーではこの軟骨部分に障害が起きます。
後の成長に関わるので適切な対処が必要です。
投げ過ぎが主な原因のためピッチャーに多く発生します。

画像は中学生の肩のレントゲンです。
山のような形の線が骨端線です。
正常な右側の画像(左肩)に対して左側の画像(右肩)では線が太く写っているのがわかると思います。
これが骨端線離開といわれるものです。
野球では投球時に捻りのストレスと遠心力が繰り返しかかり、骨端線が広がっていってしまいます。
原因は投げ過ぎ、筋肉の機能的問題、肩・体幹・股関節等の柔軟性、投球フォーム等様々ですが、共通して言えることは肩に痛みがある状態で無理をしないことです。
画像のようになる前に、少しでも痛みや違和感を感じたら検査をすることをおすすめします。
当院でもまず診察をし、レントゲン等の精密検査が必要と判断したらすぐに提携医に紹介します。
治療はまずは安静が第一です。
日常動作でも痛みが出るような重度の場合は三角巾で腕を吊ったりすることが必要ですが、投球時以外では痛みの出ない軽度の場合は一定の期間投球を控えれば損傷自体は回復します。
そしてこの期間は、ただ安静にするだけではなく、治療や別の部位のトレーニング、フォームの見直しを行えば再発の可能性や復帰後のブランクを少なくできると思います。

治療でポイントとなるのは小円筋という筋肉です。
左の写真では1本の束に見えますが実際には上部筋束と下部筋束に分かれています。
また、解剖の教科書等では筋の停止部は大結節となっていますが、正確には大結節とその下にも付着します。
右の写真(出典 “人体解剖カラーアトラス”)の9の枠内が小円筋の付着部です。
9の枠内の上部に下部筋束が、枠内下部に上部筋束が付着します。
起始部と停止部では上部と下部が交差して逆になっています。
そしてこの枠内にある点線が骨端線です。
そのためこの小円筋の張りが強かったり、さらには上部筋束と下部筋束で張りや固さに差があると投球時の捻りのストレスに剪断力も加わり負荷がより強くかかると考えます。
リトルリーガーズショルダーの治療では、安静にするだけでなく再発予防のためにこのような筋の固さを見逃さないことも大切です。
スーパーライザーでの温熱療法や手技療法等でしっかりと固さを取り除きます。
また、マイクロカレントや超音波で損傷部位の修復も促します。
ある程度痛みがお落ち着いてきたら投球フォームや身体全体の柔軟性等をチェックし再発になり得る原因があれば改善していきます。
ただ安静にするだけではなく、積極的に治療することをお勧めします。