離断性骨軟骨炎
今回は肘の離断性骨軟骨炎についてです。
離断性骨軟骨炎とは、スポーツなどによる繰り返しのストレスや外傷によって起こる骨端症です。

10代に多くみられます。
成長期では骨の先端がまだ骨になりきっていない軟骨部分が多いためです。
肘以外にも膝、股関節や足首などに発生します。
肘で特に多くみられるのは野球での投球障害、いわゆる野球肘の外側型がこの離断性骨軟骨炎にあたります。
肘の構造上、野球肘の内側型は内側にかかる牽引ストレスにより靱帯や筋腱付着部の損傷が多く発生します。
対して外側型は、外側に圧迫ストレスがかかります。この繰り返しにより上腕骨の下端の軟骨がはがれてきてしまいます。

初期では軽い炎症程度で、練習後や試合後の肘周囲の軽い張りやだるさのみで、痛みの症状がでないことが多く気づきにくいです。
そのまま競技を続けてしまうと、軟骨部分に徐々に亀裂が入っていき最終的にははがれてしまいます。関節軟骨遊離体、いわゆる関節ネズミというものです。
下の画像のように分類できます。(グレード)初期の透亮期、はがれてきた分離期、完全にはがれた遊離期に分けられます。

(出典 “標準整形外科学 第9版”)
重症化してしまうと投球時の強い痛みが出たり、関節ネズミが関節内で引っかかることでロッキング症状といい動かなくなってしまったり、肘関節の可動域が制限されてしまいます。
初期では短期間の安静で改善しますが、こうなってしまうと半年以上の投球制限や手術が必要となるため、早期での対応が非常に大切です。
当院では問診・エコー検査等をしたうえで、少しでも疑わしい場合は提携の病院への紹介をし、レントゲンやMRI等の精密検査をしていただきます。

上の画像の右側はエコー検査の様子です。
赤い部分が前腕の橈骨(とうこつ)という骨の上端で、緑の部分が上腕骨の下端(上腕骨小頭)になります。
画像は正常なので綺麗な半円ですが、離断性骨軟骨炎ではこの上腕骨小頭の部分の形に異常が見られたり、欠片が映ったりします。

このエコー像では先ほどの画像と比べて上腕骨小頭の形が明らかに違うことがわかります。
(出典 “超音波でわかる運動器疾患”)
精密検査をしていただいた後は、診断を元に安静期間を設けて復帰を目指していきます。
マイクロカレントや超音波、スーパーライザー等の電気療法で痛みの緩和と患部の修復を促し早期復帰を目指します。
痛みが落ち着いたら再発しないように身体全体のバランスや各関節の柔軟性、投球フォームをチェックし原因を見つけ、状態に合わせて予防のストレッチやトレーニングの指導、フォームの改善をしていきます。
野球以外にもテニスや剣道等、肘の曲げ伸ばしの多い競技をしているお子さんが肘に痛みがある場合、ぜひ一度ご相談ください。
肘にかかるストレスが徐々にかかって急激に痛みがでるのも特徴です。
少しの違和感程度でも、重症化しないように早めの受診をオススメします。
たまるやコア
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