PLRI(後外側回旋不安定性)
今回は膝の後外側回旋不安定性(PLRI)についてご説明します。
PLRI
膝の後外側支持機構(PLS)や後十字靭帯(PCL)が損傷されると生じます。
PLSとは
外側側副靭帯(LCL)、膝窩筋腱と膝窩腓骨靭帯によって構成されている靭帯と腱の複合体で、主に膝の外側部分の安定性や外旋安定性のために働いています。
PLS損傷は比較的少ない症例ではありますが、交通事故など膝関節に強い外力が加わることで発生します。
単独損傷は少なく、前十字靭帯(ACL)損傷やPCL損傷などを合併して起こることが多いです。
なかでもPLRIに影響を及ぼすのがPCL損傷です。
PCL損傷を起こすと膝関節の後方への外力の安定性が失われ、よりPLRIが助長されます。
それでは各症状が疑われるときのテスト法をご紹介致します。
まずは膝関節の外旋の緩さを確認するダイヤルテストです。

左足の方が下腿が外旋しているので左の膝にPLRIの疑いがあるということになります。
次に膝関節の後方引き出しテストです。

膝関節に後方へのストレスをかけたときに不安定性、痛みがあった場合、PCL、PLSの損傷が疑われます。
30度屈曲で不安定性が出た場合→PLS損傷
90度屈曲で不安定性が出た場合→PCL損傷
を疑います。
次は膝関節の内反テストです。

片方の手の親指で関節の隙間を触知し、逆の手で膝関節に内反方向へのストレスをかけます。
30度屈曲位のみで関節の隙間が開大する場合はLCLの単独損傷、完全伸展位でも関節の隙間が開大する場合はPLSの広範囲な損傷や、PCLの損傷が合併していることを疑います。
当院にご来院いただいた患者さんの中にも、PLRIの症状がみられる方がいらっしゃいます。
中には普段歩行するときは痛みがなく運動すると膝の裏の外側が痛くなるなど、そこまで症状が重くない場合もあります。
しかし、PLRI、PLS損傷などが疑われる場合はすでに不安定な状態になり症状が出ているため、しっかり固定し、安静を保つ必要があります。
そこまで痛みもないし大丈夫だろうと放っておくとずっと症状が残ってしまいます。
少しでも上記の症状が疑われる場合はすぐにご相談ください。